2018/12/20

梅田で高さ286m? 大阪国際空港 高さ制限の緩和について考えてみる

大阪の高さ制限の現状
皆様ご存知の通り、大阪の都心においては建造物の高さ制限があります。高さ制限の要因は、大きく分けて3つあると考えます。
 ①航空航路による制限
 ②土地の容積率による制限
 ③景観条例等の条例に基づく制限


①航空航路による制限

大阪市北部には、大阪国際空港(伊丹空港)があり、大阪都心部の高さ制限は、②、③がクリアされたとしても、これが上限となっています。この高さ制限は、航空航路に影響を与えないように定められたもので、詳細を下記URLのシステムで確認することができます。

大阪国際(伊丹)空港高さ制限回答システム
http://www.kansai-airports.co.jp/itm_seigen/



例えば「梅田」と住所を入れ、赤いピンの近くをクリックすると制限高が見れます。ここでは192mとなっています。
以前は、あべのハルカスの位置にも制限がありましたが、航空法の改正により、制限範囲が狭くなったため、あべのハルカスは300mの高層建築が可能となりました。(改正前だと280m程が限度でした。)
一方関西国際空港による高さ制限は、海上に収まっており、対岸への影響はないため、りんくうゲートタワー(256m)の位置には高さ制限はありません。


②容積率による制限
容積率とは、建物の延べ床面積を、敷地面積に対する割合で示した数値です。すごく単純にいうと、容積率800%ですと、敷地面積いっぱいの建物で、8階建ての建物が建てられることになります。
この容積率は、敷地に面する道路の幅や、行政により指定される、用途地域区分により、建築基準法に基づいて定められています。


③景観条例による制限
この制限の代表例としては御堂筋があげられます。御堂筋では、景観を保全するために、建築物を建造する際にガイドラインがあります。下記の資料に詳しい記載があります。

"御堂筋における高さ制限の変遷", 大澤昭彦, 東京工業大学大学院総合理工研究科人間環境システム専攻,土地総合研究2012春号,
http://www.lij.jp/html/jli/jli_2012/2012spring_p030.pdf

2013年度に条例が変わり制限緩和がされた現在でも、セットバックをして最大140mまでと定められています。そのため、例えば①の航空法で200mが可能な位置でも、②が優先され、最大140mとなります。


制限緩和の可能性
さて、本題ですが、この高さ制限は緩和可能なのでしょうか。③については、各行政体が条例で定めているため、その条例変更で緩和可能です。(御堂筋の例)。
①ですが、実は国内において緩和された例があります。これは、安倍政権が進める、国家戦略特区によるもので、下記2例を紹介します。

・1例目、福岡 天神地区
福岡は、空港が都心に近く便利ですが、そのために都心において大幅な高さ制限がありました。高島宗一郎市長の進める、「FUKUOKA NEXT」の取り組みの中で、天神地区で、既存建物の避雷針までの高さを限度として、高さ制限緩和が行われています。
"国家戦略特区における航空法の高さ制限の エリア単位での特例承認について", 
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/h290926n.pdf

・2例目、東京 虎ノ門・麻布台地区
こちらも、国家戦略特区のもと、既存の東京タワーまでの高さを基準とした形で緩和されています。

②についても国家戦略特区や行政の施策により緩和がされております。有名なのは、東京駅や名古屋駅では、線路上空空間の容積率を移転という形で、周囲のビルの容積率に上乗せして高さ制限を解消するなどの例もあります。


大阪での制限緩和は?
②、③は、土地を確保したり、条例のない地域に建てる等で解消できそうですが、①の航空法による制限緩和は大阪では可能なのでしょうか?

航空法緩和の例は、いずれも既存の建物をベースに考えられています。そのため、例えば梅田地区では、既存建築物の避雷針の最大高さまでは同じ理屈で緩和できそうですが、それだとせいぜい、200m少し上くらいが限界だと思います。

そこで、新しいロジックとして、羽田から東京タワーまでの距離と高さの関係を、大阪に当てはめてみるのはどうでしょうか。つまり、既存の経験のある航空法逸脱事例を他の土地に当てはめるということです。


東京タワーが330mの高さ。羽田から東京タワーまでは12km。伊丹から梅田は10.4kmですので、比率で計算すると、梅田地区では286mまで可能となります。
是非この理屈で、大阪府市は、国に緩和を迫ってほしいものです。

参考文献:

容積率, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B9%E7%A9%8D%E7%8E%87
容積率, https://iqra-channel.com/floor-space-index


1 件のコメント:

  1. 全く同感です。人口が減少し都心回帰が始まり大阪工業大学が梅田に移転してきたり都市の集積性を高めるには、現行の高さ制限を緩和する必要性が急務です。

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